糖尿病と歯科

こんにちは。歯科医師の吉岡です。
実は最近、健康診断に行きました。そこで採血をする機会がありました。皆さんはHbA1cという言葉を聞いたことがありますでしょうか。私は食習慣には自信がなかったのですがHbA1cの数値が基準値内で安心しました。HbA1cと糖尿病は密に関係しているので食習慣を改善して健康を維持増進したいと思っているところです。そんな私の経験から、今回は糖尿病と歯科治療についてお話しさせていただきたいと思います。

糖尿病と抜歯にはいくつかの関係があります。糖尿病は高血糖状態を引き起こす代謝性疾患であり、抜歯にも影響を与えることがあります。


傷の治癒:
糖尿病は、傷の治癒を遅らせる傾向があります。それは、高血糖が続くと、血管がもろく硬くなる「動脈硬化」が進行し、血流も悪くなるため、酸素・栄養が十分に行き届かず、傷の治りが遅くなるからです。抜歯の際には、口腔内に傷ができる可能性があるため、糖尿病患者さんは傷の治癒に時間がかかる可能性があります。

感染リスク:
糖尿病は免疫機能を低下させることがあり、抜歯後の感染リスクが高まる可能性があります。これは、高血糖状態が続くことで、体の細い血管が障害されて血流が悪くなり(細小血管障害)、細胞の働きが低下したり、免疫機能のある白血球が細菌が感染した部分に行きわたりにくくなるからです。このことから、適切な予防策を講じることが重要になります。

血糖コントロール:
上記の傷の治癒、感染リスクと抜歯の関係性でお話ししたように、抜歯の際には、糖尿病患者の血糖コントロールを特に注意する必要があります。術前の血糖コントロールとしては、空腹時血糖値が130mg/dL未満、食後2時間血糖値が180mg/dL未満、HbA1cが8.0%未満となっていることが望ましいです。抜歯前に血糖コントロールには1〜2週間を要することがあります。しかし血糖コントロールをしっかり行うことで抜歯後の合併症のリスクを軽減し安心して口腔周囲の健康を維持することができます。糖尿病が既往にある方は早めにお声掛けください。

糖尿病の影響:
抜歯による歯の欠損は、食事制限や血糖管理に影響を及ぼすことがあります。入念な口内ケアと栄養バランスの摂取が重要です。

糖尿病と抜歯には以上の関係性が密にあります。
糖尿病を予防するためには健康的な食事、適度な運動、健康診断の受診、ストレス管理が重要です。
今回は糖尿病について詳しくお話ししましたが、最近猛暑が続いているので、熱中症に気をつけて脱水にならないよう水分摂取を心がけましょう。

抜歯を必要とする場合は、糖尿病を考慮した適切な治療計画が立てられるよう、私たちと十分に相談して治療に臨んでいきましょう。