睡眠時ブラキシズムのメカニズムその①

こんにちは。
とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 

今回から、睡眠時ブラキシズムの対策について解説していきたいと思います。

 

まず、睡眠時ブラキシズムの原因の解説に先立ち、睡眠についての理解を深めておきましょう。
ヒトの睡眠は、REM(Rapid Eye Movement)睡眠とNon-REM睡眠に大別されます。
REM睡眠では急速眼球運動が認められ、著しい抗重力筋活動の低下や速波化した脳波(振幅が小さく、周波数が高い)が認められます。
抗重力筋とは、文字通り重力に逆らうために働く筋肉のことで、直立している時に、姿勢を保つために働いている筋肉の総称を指します。
脳波とは、脳の活動を記録するために用いる指標で、振幅が小さく、周波数の高い脳波というのは、脳が活発に活動している状態で、ほぼ起きているときと変わらない波形の脳波になります。
体は寝ているけれど、脳は起きているような状態ですね。
一方Non-REM睡眠は、StageN1~N3に分類され、ステージが上がるごとに睡眠が深くなっていきます。
そして、睡眠が深くなるにしたがって、脳波が徐波化(振幅が大きく、周波数が小さい)して、意識レベルが低下していきます。
Non-REM睡眠は、REM睡眠とは逆の脳波形を示します。
通常、入眠直後にNon-REM睡眠のStageN1が認められ、その次にN2、N3と、だんだん眠りが深くなります。
その後、だんだん眠りが浅くなり、最後にREM睡眠を迎えます。
この眠りの深さの変化を睡眠周期と呼び、この睡眠周期は、70~110分を1周期として、一晩に3~5回繰り返されます。
睡眠初期では深い眠りであるStageN3の割合が大きく、睡眠が進むにつれて、だんだん浅い睡眠であるStageN1やREM睡眠の時間が大きくなっていきます。
また、睡眠が浅くなるのに伴って、微小覚醒と呼ばれる、15~30秒程度の、睡眠の浅化、覚醒反応が認められます。
ブラキシズムは、この睡眠が浅くなる段階、特に微小覚醒時に発現することが多いことが、研究により報告されています。
ずっと深い眠りでいると、いつまでも起きることができないので、脳が起きるための準備を始めるのですね。
その準備段階で、眠りが浅くなるのと一緒にブラキシズムが起こってきてしまうというわけです。

 

 

 

睡眠時のブラキシズムは、発症因子によって、原発性(1次性)のもの、ある疾患に関連して生じる続発性(2次性)のものに分類されます。

 

原発性のブラキシズムは、前述した微小覚醒と呼ばれる小さな覚醒反応によって、その85%が起こると報告されています。
睡眠の浅化に伴って、自律神経が副交感系神経から、交感神経優位に変わるのですが、ブラキシズムが起こる4~10秒前には体内が低酸素状態になり、ブラキシズムの開始直後に、大きな喚起が行われ、体内が高酸素状態に移行します。
このことから、ブラキシズムは、軽度の低酸素状態によって誘発されて、ブラキシズムを行うことによって、効率的に喚起が行われいる可能性が、現在考えられています。
寝ている間に、我々のからだではこんなことが起こってたのですね。

 

 

次回へ続きます。