歯科治療と全身疾患⑦

こんにちは!
仙台市太白区大野田とみざわ駅前歯科、院長の相澤です。

 

さて、今回の歯の豆知識ですが、「歯科治療と全身疾患」について続けて説明させていただきます。

 

⑪血小板減少症、血友病
血が止まりにくい、些細な怪我でも出血しやすいという出血症状がみられる病気です。

 

『血小板減少症』

出血をとめる血管、血小板、血液凝固因子の3要素のうち、なんらかの原因で血液中の血小板の数が少なくなる病気です。
原因は様々です。
白血病や一部の貧血では骨髄で血小板の生産が不十分に生産されなくなることがあります。

肝硬変、骨髄線維症、ゴーシェ病で脾腫を発症すると、血小板が脾臓に取り込まれ、血液中の血小板の数が減少します。

大量の輸血により、血小板の血中濃度が薄まる場合もあります。

一部の薬も血小板減少症の原因になります。

血小板の数が減ると小さなキズでも出血が止まらなくなったり、皮膚に小さな赤い斑点や痣が見られることがあります。

 

『血友病』

出血した際に血を固める血液凝固因子というタンパク質が生まれつき不足あるいは欠乏している病気です。
このため、一度出血すると、血が固まるまでに時間がかかります。
生まれつきの病気で男性の5000人から10000人に一人発現すると言われています。

ちなみに中世のヨーロッパの歴史などに詳しい方は、ヨーロッパの王室と血友病の関係を知っているかもしれませんね。
遺伝で伝わるので「王家の病」と言われていました。
英国のビクトリア女王から始まるヨーロッパ王室の病気です。
他国の王室との婚姻で大陸に広まったものです。

 

さて、これらの病気の歯科治療との関わりですが・・・

血小板減少症の急性期の場合は、歯科治療自体が禁忌となります。
慢性期になり、血小板数が5万/μl以上であれば治療を行うことができます。
必ず歯科治療の際には血液検査結果を持参してください。
歯周病の治療などのちょっとした出血にも気をくばらなければなりません。

血友病の場合
観血的処置自体が困難です。
血液凝固因子の補充療法が必要になります。

以上のことから、病院の中の歯科、あるいは口腔外科を紹介し、そこでの処置が必要になることが多いです。

さて、歯科にかかる場合以外に気をつけるべきこととしては・・

 

重度の虫歯や歯周病であると、出血傾向がますます悪化してしまいます。

つまり、歯と歯ぐきのケアをしっかりすることが出血のリスクを減らすことに繋がります。
特に歯周病が進行すると、無自覚でも歯肉からの出血などで気がつくこともありますので、注意が必要です。