虫歯・歯周病以外の歯科疾患⑥

こんにちは!

仙台市太白区大野田とみざわ駅前歯科、院長の相澤です。

今回の歯の豆知識ですが、前回に引き続き「むし歯・歯周病以外の歯科疾患」というテーマで説明させていただきます。
いわゆる歯科医院で診る疾患の中でも、虫歯、歯周病以外の稀なものを説明していきます。

6) 口唇口蓋裂

通常の歯科医院で、診る機会は殆どないはずです。
我々も大学時代に勉強したきりです。

外表奇形の中で、口腔と顎に発生する先天性の形態異常としては、口唇裂や口蓋裂がもっとも多くみられます。

さらに顔の一部も裂けている斜顔裂、横顔裂、耳や指の形態異常を合併した症候群もみられ、その程度はさまざまです。
また、舌にもいろいろな異常がみられます。

胎児がお腹のなかでしだいに成長するとき、顔は左右から伸びるいくつかの突起が癒合することによってつくられています。
しかし、この癒合がうまくいかないと、その部位に裂け目が残ってしまいます。
その結果として、唇が割れた口唇裂や、口蓋が裂けて口腔と鼻腔がつながっている口蓋裂が発生します。
口蓋裂には、一見、口蓋に裂け目がないように見えても、粘膜下の筋肉の断裂がおきているものがあり、これを粘膜下口蓋裂といいます。
また、上顎の歯茎が裂けている場合は顎裂といいます。

避けている部分の歯牙が生まれつき欠損していることも多いです。
これらの異常はしばしば合併します。

これらの異常の発生する頻度は、日本人では約500人の出産に1人の割合で、日本人に多い先天異常といわれています。

【原因】

妊娠の初期(顔や口蓋が形成される2~3か月ごろ)に胎児に異常な力が加わったり、母体の栄養障害や精神的なストレス、さらに副腎皮質ステロイド薬や鎮痛剤など形態異常を誘発する薬を使ったり、風疹にかかったりなどが要因としてあげられています。
一部では遺伝によるものもあります。
また、発生率は高齢出産になるほど高いともいわれています。
しかし、原因は不明なものが大多数を占め7割に達しています。

【症状】

審美的な障害や哺乳あるいは摂食障害、また発音障害などがみられます。
また手足や耳の形態異常、ヘルニアや心臓の形態異常を合併することもあります。口蓋裂では口腔と鼻腔とが交通しているため鼻咽腔が食物で汚染され、二次的に扁桃炎や中耳炎をおこしやすくなります。

一般の歯科医院で治療を行うことはほぼありません。
出生時に専門医が診察し、治療をすすめることがほとんどです。

実際の治療の方法については、次回説明させていただきます。