虫歯菌を攻略せよ!その1

 

 

こんにちは、とみざわ駅前歯科の歯科医師の大島です。

前回は、虫歯菌がどのように感染し、どうやって増殖しているのかについて話していきました。
今回はもう少し虫歯菌について掘り下げていき、虫歯予防に努めていきましょう。
戦に勝つには、まず相手を知ることから始まります!

さて、今まで虫歯菌といってきた細菌なのですが、虫歯の原因菌は何種類か存在します。
その中でも、虫歯の初期にみられる、歯の表面の一番硬い層(エナメル質)を溶かす原因となる菌について説明したいと思います。
その菌はというと、ミュータンスレンサ球菌と言います。
ミュータンスレンサ球菌にも様々な種類のものが存在するのですが、初期虫歯の原因となる菌の特徴として、球状の細胞が鎖状に連鎖した配列をしていることから、レンサ球菌群と呼びます。

余談ですが、他にも細胞の配列の特徴として、ぶどうの房状に並んだものをブドウ球菌とか、細胞の形状が細長い棒のようなものを桿菌と呼んだりします。

ミュータンスレンサ球菌の虫歯の原因となる特徴

①歯の表面に付着できる
ミュータンスレンサ球菌群の特徴として、まず、歯の表面に存在するタンパク質と結合する能力があり、そこで餌となる糖が入ってくるのを待ちます。
本来、歯の表面のたんぱく質は、歯を保護するために存在するものなのですが、ミュータンス菌はそれを逆に利用して、歯の表面にくっついてしまいます。
いかにも悪者っぽいですよね。

②酸産生性
ミュータンスレンサ球菌群は、スクロースをはじめとして多くの糖を分解します。
糖を分解した時に乳酸という酸が産生されて、歯の表面のPHが下がっていきます。
歯面は、普段は中性(PH7)に保たれていますが、酸により酸性(PHが5.5以下)に傾くと、だんだん溶けていきます。
また、歯垢の奥深くでは、酸素や糖が届かないので、ミュータンス菌は乳酸を作ることができないのですが、逆にギ酸酢酸などの酸を作ることが可能になります。
歯垢がたまればたまるほど、多くの酸を作ることができるようになるという性質を持っているですね。
恐ろしい話です。

③耐酸性
ミュータンスレンサ球菌群は、歯が溶けるPH5.5以下でも、増殖できる性質をもっています。
そりゃそうだろ、と思うかもしれませんが、これは、他のレンサ球菌にはない特徴になります。

④不溶性グルカン産生性
急に聞きなじみの無いものが出てきましたが、これも糖を基質として産生されるものになります。
この不溶性グルカンは、細菌の粘着性を増す作用菌の細胞を固める作用バリアーを作る作用などがあります。
この不溶性グルカンの作用により、歯垢がどんどん歯面に出来上がってしまいます。
バリアーの機能も備わっているので、唾液の洗浄作用や、PHを元に戻そうとする緩衝作用も、無効になってしまいます。

 

以上、宿敵、ミュータンスレンサ球菌群の特徴を挙げていきました。
口の中ではこんなことが起こっていたのですね。
調べていただけでも歯ブラシがしたくなってきました。
次回は、虫歯対策について説明していきたいと思います。