歯周病と糖尿病の関係性って?その2

 

 

こんにちは、とみざわ駅前歯科の大島です。

今回は前回の続きになります。

2型糖尿病の原因と、歯周病と糖尿病の関連性について説明していきます。

 

まず、2型糖尿病の原因としては、肥満が挙げられます。

前回にも名前が出ましたが、肥満の状態が続くと、メタボリックシンドロームと呼ばれる、高血糖、脂質代謝異常、高血圧が引き起こされる状態になります。

高血糖になってしまうそのメカニズムは、内臓脂肪や、脂肪肝で産生される、アディポカインという物質が、悪さをすることによって起こってきます。

アディポカインという物質は、サイトカインの一種で、サイトカインとは、免疫に関与する低分子の特定のタンパク質の総称になります。

生体内で炎症を促進させるサイトカインを炎症性サイトカインといい、アディポカインにも、炎症性サイトカインが含まれています。

本来、炎症性サイトカインというのは、体内に細菌やウイルスが入ってきたときに働き、それらをやっつける役割があるのですが、肥満であると、常にこの炎症性サイトカインが放出され続ける状態なので、健常な組織も破壊するようになってきます。

これが慢性炎症と言われるものですね。

この炎症性サイトカインが、血液中の糖を骨格筋や肝臓に取り込むためのインスリン受容体に作用し、血液中の糖を組織に取り込めなくすることで、高血糖状態が維持され、糖尿病となります。

 

糖尿病になるメカニズムがわかったことで、次は歯周病との関連について説明していきます。

まず、糖尿病になると、高血糖状態が維持されます。

高血糖状態が続くと、血液中の単球と呼ばれる白血球を活性化させて、炎症性のサイトカインの放出を促します。白血球も免疫に関わる血液成分になりますので、これもサイトカインを放出します。炎症性サイトカインは健常な組織も破壊するので、血流にのって歯の周りの歯周組織も破壊していきます。

そして、歯肉炎や歯周炎などの炎症状態になると、その炎症によってまた炎症性のサイトカインが放出され、その炎症性サイトカインがインスリン受容体に作用し、更に糖尿病が悪化します。

こうして、糖尿病が悪化すると歯周病が悪化し、歯周病が悪化すると、糖尿病が悪化するという、悪循環のサイクルが完成します。

そのため、ペリオドンタルメディシンの観点から歯周病の予防を考えると、全身の慢性炎症を取り除く必要がありますので、肥満の予防が非常に大切になってきます。

一度悪循環のサイクルに乗ってしまうと、改善するのが難しくなってしまうので、日頃の口腔ケアを行うのは当然ながら、肥満の予防のため、健康的な食事や運動、睡眠を心がけましょう。