こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
昨今では、インプラント治療は進化を続けており、失った骨を造る骨造成法による適応症の拡大、CTによる画像診断と3Dシミュレーションソフトによるバーチャルプランニング、それによって作成される治療用ドリルがずれるのを防止するサージカルガイドなど、数々の技術が出てきています。
しかしながら、すべての患者様に提供できるわけではなく、リスクファクターを十分に考慮したうえで治療を行わないと、予知性の問題だけでなく、手術中の偶発症や将来的にさまざまなトラブルが起こりかねません。
今回は、インプラント治療におけるリスクファクターである、全身疾患について解説していきたいと思います。
インプラントのリスクファクターとしては古くはMaeglin(1983)が内科的禁忌症として下記の疾病を上げています。
- 一時的なもの:一過性の感染症
- 絶対的禁忌症:骨、内分泌系、造血系の全身疾患/リウマチ/心疾患/腎炎/ネフローゼ/肝硬変/アレルギー疾患/免疫系の障害/病巣の感染の疑い
他にも、放射線治療をうけた骨、重度糖尿病、出血素因、ヘビースモーカー、骨粗鬆症、重篤な全身疾患には特に注意を払い、免疫不全、薬物中毒の患者は除外すべきであるとされています。
Renouardは、BHP(骨治癒能力)の分類で詳細な示唆を与えてくれています。
インプラントは骨に埋入するものなので、骨の治癒能力の低い患者さんには、不適となります。
BHP1 通常の治癒能力を有するもの
BHP2 やや低い治癒能力を有するもの
- 中等度の喫煙(約10本/日)
- コントロールされている糖尿病
- 貧血
- 骨粗鬆症
- 栄養不足
- 移植骨
- 再生骨
- コルチコイドを用いた長期治療
- 非ステロイド消炎剤を用いた長期治療
BHP3 非常に低い治癒能力を有するもの
- ヘビースモーカー(約20本/日)
- コントロールされていない糖尿病
- 甲状腺機能亢進
- 重度の貧血
- 抗癌治療
- 重度の骨粗鬆症
- 放射線治療を受けた骨
- リウマチ関節炎
重篤な骨疾患、免疫疾患、ステロイド投与、コントロールされていない糖尿病、放射線治療を受けた骨などは、きわめて大きなリスクファクターとなりますので、注意が必要です。
身体に関する事柄だけでなく、治療を進めていく上で、禁煙治療など、患者さんの協力が必要不可欠なので、精神疾患など上手くコミュニケーションが取れない患者さんも、インプラント治療をお断りする場合があります。
次回は、特にインプラント治療において、特に頻度の多いリスクファクターについて、掘り下げて解説していきます。
次回へ続きます。