こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。
前回の記事の続きになります。
5.異常嚥下癖
正常な嚥下は上下の歯が接触して、舌の先が上顎前歯の後方に位置し、舌背(舌の腹)が口蓋に接触した状態で行われます。
それに対し、異常嚥下では嚥下時に舌が突出して上下前歯の間に舌の先を挟むようにし、正常嚥下の場合は咀嚼筋と呼ばれる筋肉が収縮するのに対し、表情筋が収縮するような特徴が挙げられます。
原因としては、下記のものが挙げられます。
- 指しゃぶりによる開咬が原因となったもの
- アデノイド、扁桃肥大等の鼻咽頭疾患
- 乳児性嚥下が残留したもの
- 下顎後退等の異常な顎態のため二次的に引き起こされたもの
などになります。
6.口呼吸
鼻からの呼吸(鼻呼吸)が行えず、あるいはその割合が少なく、長時間にわたって口で呼吸をすることを口呼吸といいます。
その原因により①鼻性口呼吸、②歯性口呼吸、③習慣性口呼吸に分けられます。
- 鼻性口呼吸:口呼吸者の多くはこれに含まれます。鼻疾患によって鼻がつまり、鼻呼吸が困難になったものがこれにあたります。
- 歯性口呼吸:上顎前歯の前突により口唇の閉鎖が困難になり、自然に口呼吸を行うものです。出っ歯の人に多く見られます。
- 習慣性口呼吸:特に原因がなく、習慣的に口呼吸を行うものになります。
7.歯ぎしり
ブラキシズムともいわれ、多くは睡眠中に見られますが、起きている間にも無意識に歯を強くかみしめたり、あるいは上下顎の歯を強く摩擦することを言います。
原因としては、かみ合わせが悪いことで咬む場所を探すのが習慣化したり、心理的原因による筋緊張の亢進、全身的疾患による神経異常などが考えられますが、不明なことが多いといわれています。
小児の歯ぎしりは、程度にもよりますが自然消失することが多いので、しばらくは様子を見ます。
今まで挙げた口腔習癖の診断と治療に際しては、慎重な対応が必要です。不適切な治療により逆に習癖を増悪したり、別の問題を新たに引き起こすこともあります。
口腔習癖の処置としては、心理療法、薬物療法、歯科的療法、筋機能訓練などがあります。
心理療法としては、①心理的に問題なく無意識に行っているものと、②心理的な問題を有し、自己防御や抵抗の発現として行われているもので分けられます。
心理的に問題なく、患児が理解できる年齢であれば、行動変容技法を用いて口腔習癖の害を十分に説明して、意識させることで治していきます。
心理的な問題によって引き起こされた習癖の場合は、患児の周りにいる人たち、あるいは専門家に相談して、その原因になっている心理的な原因を解決する必要があります。
なので、心理療法を行うこともあります。
次回へ続きます。