口腔癌ってどんなものがあるの?その①

 

 

こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

今回は、口腔内にできる、口腔・咽頭癌について解説していきたいと思います。

 

癌である悪性新生物の罹患率は、日本人が一生のうちに診断される確率は、2人に1人という統計データが出ており、更に死亡する確率は20%前後となっております。

口腔癌は全癌中2%の罹患率であり、大腸癌や肺癌などに比べて高くないものの、部位や進行度によっては外科的切除によって、顔貌が著しく変化してしまうことから、生存できたとしても、その後精神的苦痛を受けることがあるようなものになっております。

そのため、早期発見し、摘出部位を最小限に抑えることが、極めて重要になってきます。

 

口腔癌には、歯が原因の歯原性悪性腫瘍と、それ以外が原因の非歯原性悪性腫瘍にそれぞれ分類されます。

まず、歯原性悪性腫瘍ですが、歯原性の腫瘍はまれで、歯原性癌腫と歯原性肉腫に分類されます。

①歯原性癌腫

顎の骨に原発的に発生する骨内癌になります。

マラッセの上皮遺残と呼ばれる、歯の発生段階において、歯根を形成する時に不要になった上皮組織が由来となります。

症状としては、他の悪性腫瘍と同様に、顎骨が膨隆したり、急速な腫瘍の成長により腫瘍塊が露出し潰瘍を形成したりします。

骨の破壊吸収や、骨外や筋組織への浸潤が著しいです。

レントゲン画像では、著名な骨破壊像を確認することができます。

治療としては、顎骨の外科的切除になります。

放射線治療や化学療法はほとんど効果がないといわれています。

予後は、頭蓋底にまで及ぶと切除不能となり、予後不良、頸部リンパ節よりも血行性による全身への転移が多く、肺への転移が一番多いです。

 

②歯原性肉腫

低悪性の腫瘍になりまして、転移することはまれになります。

原因として、良性腫瘍が悪性転化することがほとんどとされています。

10~30代の男性に多く、好発部位としては下顎大臼歯部に多く発生します。

症状としては、腫脹や疼痛を伴う、局所の破壊性増殖になります。

レントゲン画像では、骨吸収が不規則な像を確認できます。

治療はこちらも外科的な切除です。

症例によっては、頸部リンパ節郭清術を含めた拡大手術により、根治的治療をはかります。化学療法、放射線療法の併用もありますが、効果は不明とされています。

予後は不良となります。

 

歯原性悪性腫瘍はまれではありますが、診断できるのは顎骨のレントゲンを撮る歯科医師にほとんど限定されると思うので、是非、近隣の歯医者への定期検診をおすすめします。

次回は非歯原性悪性腫瘍について解説していきたいと思います。

どうぞよしなに。