ホワイトニングについて①

 

こんにちは、歯科医師の大島です。

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

今回は、ホワイトニングについて解説していきたいと思います。

 

歯の変色は、むし歯やステイン(表面の汚れ)による外因性のものと、遺伝や代謝、歯の障害、化学物質や薬剤の作用による内因性のものの2種類があります。

 

外因性の変色は主にむし歯やステインによるもので、修復治療やPMTCにより改善できます。

一方、内因性の変色は原因物質が歯に取り込まれることによるものです。

永久歯の歯ぐきから上の部分(歯冠部)は、生まれてから6歳頃までに顎のなかですでに作られていますが、この、歯が作られる過程で変色の原因物質が歯に取り込まれると、「変色歯」となるのです。改善するにはホワイトニング剤を歯質に浸透させることが必要となります。

 

暖色系(赤、オレンジ、黄に近い色)の変色歯はホワイトニングの効果が出やすく、寒色系(黒、グレー、青に近い色)の変色歯はホワイトニングの効果が出にくいと言われています。

さらに縞模様(バンディング)がある場合もホワイトニングの効果が出にくいと言われています。

 

ホワイトニング剤は歯の表面を覆っている「ペリクル」を一時的に除去して歯の中に入り込み、変色の原因物質を白くしていきますが、作用は大きく分けて2つあります。

1つ目は歯の有機質や無機質と変色の原因物質との結合を切り離すこと。

2つ目は原因物質の分子を細かく切り、バラバラにすることで変色を目立ちにくくすることです。

暖色系と寒色系でくらべると、暖色系の変色歯のほうがホワイトニング効果は目立ちます。

これは、変色の原因物質を脂肪量に例えてみるとわかりやすいでしょう。

脂肪量が多い(変色原因物質の分子量が大きい)、太った(暖色系の変色歯)は、少し痩せる(色が変わる)だけでもダイエット(ホワイトニング)効果が目立ちますが、脂肪量が少ない(変色原因物質の分子量が小さい)痩せている人(寒色系の変色歯)は、少し痩せても目立たないというわけです。

 

歯科医院で使われるホワイトング剤には歯本来の色を漂白するための薬剤が入っていますが、薬局やドラッグストア、スーパーなどで手に入る日本製の歯磨き剤には入っていません。

市販品のなかに、「ホワイトニング用」として売られている歯磨き剤もありますが、それらはステインの除去にはすぐれているものの、歯本来の色を漂白する作用はないのです。

ですので、白くならないからといって、むやみに歯をこするのは止めましょう。

歯の外側にある半透明のエナメル質が薄くなると歯の内側の象牙質が透け、かえって黄色く見えるだけでなく、いざホワイトニングを受けるとき、エナメル質の厚みが薄い分、効果の点で不利になってしまいます。

また、知覚過敏も起きやすくなります。

 

じつは日本の薬事法では、市販品への歯の漂白剤の配合は認められておらず、歯科医師の処方でのみ歯を漂白するための薬剤が使用されています。

つまり、歯科医院でのみ高濃度のホワイトニング剤の使用が認められていて、効果が得られやすいというわけです。

また、虫歯があると知らないまま、自分でホワイトニングをしてしまうと、歯の中の神経や血管が激しく痛んだり(歯髄炎)、歯周病の状態のままだと思うような効果が出ず、薬剤の過度の使用で粘膜を痛めてしまうケースもあります。

したがって、歯科医院で前診査・処置を受け、安心・安全な状態で効率的にホワイトニングすると良いでしょう。