ストレス社会が生んだ歯ぎしり習慣 その2

 

 

こんにちは、歯科医師の大島です。
前回の続きになります。
今回は、ブラキシズムを行っている人の口腔内で、どのような変化が起こるのかを見ていきたいと思います。
ブラキシズムを行っている自覚が無い方も、お口の中を確認してみて、以下の症状があったりした場合は、夜中に行っている可能性があるため、要チェックです。

1.歯の動揺度の増加
力が加わる特定の歯に強い動揺がでることがあります。
特に、歯を接触させ、顎を横に動かしたときに動く歯がある場合は要注意です。

2.咬耗
歯の表面の部分が噛む力によって削れて平らになった状態を、咬耗といいます。
グラインディングによって強く削れてきている場合は、歯の表層のエナメル質がなくなり、内層の象牙質が露出してくる場合があります。
象牙質が露出すると、知覚過敏の症状が強く出る場合があります。

3.歯の破折
力のかかり方により、歯の頭部分で割れてきたり、根っこの部分で割れてきたり、また横に割れたり、縦に割れたり、割れ方には色々ありますが、根っこが縦に割れてきて場合は残すことができなくなり、抜歯が必要になります。

4.詰め物の脱離。
強い力がかかると、詰め物を装着している接着剤が破壊され、頻繁に外れるようになります。
場合によっては、詰め物が外れてくれることにより歯の根っこに直接力がかからないので、歯の破折の防止につながることもあります。

5.舌や頬粘膜の圧痕
強くクレンチングを行っていたりすると、舌や頬粘膜が歯に押し付けられ、痕が残ることがあります。
舌や頬粘膜に歯の痕がある場合は、クレンチングを行っている可能性があります。

6.骨隆起
強い咬む力が加わった場合には、力が集中する部位に骨が形成されることがあります。
この盛り上がった骨を骨隆起と呼び、上あごの正中や、下の歯の舌側に好発します。

7.アブフラクション
強い咬む力が加わると、歯と歯茎の際の部分に力が集中し、歯が削れてくさび状の欠損が生じます。
この状態をアブフラクションといい、これも象牙質が露出する原因になるので、知覚過敏の症状が強く出る場合があります。

8.自発痛、打診痛の出現
強い噛む力が加わり、歯を支えている歯周組織の一部である歯根膜という組織に力が集中すると、急性歯根膜炎と呼ばれる状態になります。
虫歯が無いのに噛んだ時に痛かったり、何もしてなくてもジワジワ痛みがある場合は、この歯根膜炎が原因の可能性があります。

9.知覚過敏
強い咬む力により循環障害が生じて、神経が過敏になることがあります。
咬耗や、アブフラクションで象牙質が露出していない場合でも、知覚過敏が起こる可能性があります。

 

 

意外と当てはまるものが多かったのでは無いでしょうか。

次回はブラキシズムの対策について説明していきたいと思います。