こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。
近年、ライフスタイルの変化に伴い、日常生活のあり方によって引き起こされる生活習慣病は増大するようになりました。
生活習慣病は、日常の生活習慣に関わる多様な環境要因と遺伝要因とが複雑に影響し合うことによって発症します。
個人の生活習慣としては、食習慣、睡眠、運動、喫煙、ストレス、飲酒などが挙げられます。
う蝕や歯周疾患に代表される歯科疾患の発症や進行は、生活習慣の影響を強く受けます。
①食習慣と歯科疾患
食物が口腔環境に与える影響としては、口腔に定着する微生物叢、とくに歯垢中の微生物との関わりが大きいです。
う蝕は、むし歯菌、歯のう蝕抵抗性、砂糖の主成分であるスクロースの摂取量と摂取頻度の3つの因子の存在によって発症します。
そのため、スクロースを含む食品の摂取方法や摂取頻度は、う蝕の発症や進行に大きく影響を及ぼします。
一方、歯周病と食習慣との関係はう蝕とは異なり、高カロリー食や運動不足による肥満が関連しています。
内臓脂肪肥満に加え、血中の歯質異常、高血圧、高血糖などの危険因子を併せ持つ状態をメタボリックシンドロームといいます。
それぞれ単独でもリスクを高める要因になりますが、これらが多数集積すると相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まります。
日本人の40歳以降の男性の約50%、女性の約20%が、強く疑われる群またはその予備軍に属します。
近年、肥満と歯周病の関連が調べられ、肥満の指標が大きいほど、歯周病の指標も大きい人の割合が多いことが明らかになりました。
そのメカニズムとしては、脂肪細胞が産生するアディポサイトカインとよばれる炎症性物質が、歯周組織における歯槽骨の破壊や、マクロファージの機能の低下を引き起こすのが原因とされています。
また、逆に歯周病がメタボリックシンドロームの誘因になる可能性も指摘されていまして、歯周病が原因で血中の炎症性サイトカインが増加すると、高脂血症や2型糖尿病を誘発あるいは増悪させる可能性が示唆されています。
②喫煙と歯周疾患
喫煙は、肺がんや口腔癌などの悪性新生物、心疾患、脳血管疾患および慢性閉塞性肺疾患などのリスクファクターとして知られています。
また、喫煙は、歯周病における環境面から見た最大のリスクファクターでもあり、歯周病の発症や進行、外科的・非外科的治療を問わず、治療効果の低下に大きく影響することが指摘されています。
特にニコチンは、微小血管系に影響して歯肉血流量の低下と低酸素状態を引き起こします。
したがって、歯根膜や歯槽骨の破壊が進行しているにも関わらず、歯肉出血などの炎症症状が見かけ上抑制されているため、自覚症状が乏しく気づかないことも多いです。
また、インプラント治療や抜歯後の治癒にも悪影響を及ぼすことが報告されています。
近年、妊婦が喫煙者の場合、唇・口蓋裂児の出産リスクが高くなると報告されており、前癌症状も含めたその他の口腔粘膜異常と喫煙との関係も明らかにされています。
次回へ続きます。