こんにちは

吉岡です。

血液凝固薬は、血液が過度に凝固しないようにするために使用される薬剤で、主に血栓の予防や治療に用いられます。
まずはじめに、これらの薬剤を使用する必要がある疾患と薬剤を紹介します。

1. 心房細動
疾患概要: 心房が不規則に収縮するため、心臓内で血液が滞留し、血栓が形成されるリスクが高くなります。
使用される薬剤:
ワルファリン
NOAC(新規経口抗凝固薬): ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、など
2. 深部静脈血栓症
疾患概要: 主に下肢の静脈に血栓が形成され、肺動脈に血栓が移動することで肺塞栓症 (PE) を引き起こすリスクがあります。
使用される薬剤:
ワルファリン
ヘパリン
NOAC: リバーロキサバン, アピキサバン, エドキサバン など
3. 肺塞栓症
疾患概要: 肺動脈に血栓が詰まることで、呼吸困難や胸痛などを引き起こし、場合によっては致命的となることがあります。
使用される薬剤:
ヘパリン
ワルファリン
NOAC: リバーロキサバン, アピキサバン, エドキサバン
4. 人工弁置換術後
疾患概要: 人工心臓弁を置換した患者は、人工物に血栓が形成されるリスクが高いため、抗凝固療法が必要です。
使用される薬剤:
ワルファリン (通常、機械式弁置換の場合)
近年では、生体弁置換の場合にNOACも考慮されることがあります。
5. 冠動脈疾患
疾患概要: 冠動脈の血管壁にプラークが蓄積し、動脈が狭窄することで、心筋梗塞や狭心症のリスクが増大します。
使用される薬剤:
アスピリン (低用量)
クロピドグレル
場合によってはNOACが使用されることもあります。
6. 脳梗塞予防
疾患概要: 脳血管が閉塞することで、脳への血流が遮断され、脳梗塞を引き起こします。特に心原性脳梗塞の場合、抗凝固療法が重要です。
使用される薬剤:
ワルファリン
NOAC: ダビガトラン, リバーロキサバン, アピキサバン, エドキサバン

血液凝固は歯科治療において非常に重要な役割を果たします。特に抜歯や歯周外科手術などの外科的な処置を行う際には、適切な血液凝固が必要です。

次に、血液凝固と歯科治療の関係性を説明します。

1.出血のコントロール:
血液が適切に凝固しない場合、処置中や処置後の出血が長引く可能性があります。これにより、治癒が遅れたり、感染のリスクが高まることがあります。

2.抗凝固薬の影響:
ワルファリンやアスピリン、NOAC(新規経口抗凝固薬)などの抗凝固薬を服用している患者は、歯科治療中に出血リスクが高くなります。そのため、事前に医師との連携が必要で、薬の調整や止血対策を考慮する必要があります。

3.血液疾患の考慮:
血友病などの血液凝固異常を持つ患者は、歯科治療を行う際に特別な注意が必要です。事前に適切な凝固因子の補充や治療計画が必要になります。

4.止血対策:
凝固が正常に機能しない患者の場合、縫合や止血剤の使用、あるいは吸収性のコラーゲンスポンジや酸化セルロースなどの材料を使った止血対策が有効です。

5.術後の管理:
術後の出血を防ぐために、圧迫止血や口腔内の衛生管理が重要です。また、術後の指示を厳守し、必要に応じて再診を促すことも必要です。

以上の点を考慮し、歯科医は患者の血液凝固状態を把握したうえで、安全かつ効果的な治療を行うことが求められます。
初診の際、特に血液をサラサラにする薬を内服されていることは、早めに申し出てくださいね。