こんにちは!
仙台市太白区大野田とみざわ駅前歯科、院長の相澤です。
今回の歯の豆知識ですが、前回に引き続き「むし歯・歯周病以外の歯科疾患」というテーマで説明させていただきます。
いわゆる歯科医院で診る疾患の中でも、虫歯、歯周病以外の稀なものを説明していきます。
5)腫瘍
今回も前回に続き、腫瘍の中でも悪性のものを説明します。
前回は歯肉がんについて説明させていただきました。
【悪性黒色腫】
悪性黒色腫は、50歳以上の中高年齢者に発生することが多く、男女差はありません。
硬口蓋と上顎歯肉に発生することが多いのですが、下顎歯肉や頬粘膜などにも生じます。
さまざまな形や大きさの黒褐色腫瘤として認めますが、着色が明らかでない場合もあります。
また、リンパ行性あるいは血行性の転移が多く、残念ながら予後は極めて悪いものです。
治療はリンパ節の郭清を含めた外科手術が主です。
それに加え、放射線治療、化学療法や免疫療法なども補助的に行われます。
【悪性リンパ腫】
悪性リンパ腫は、リンパ系の組織から発生する腫瘍です。
悪性リンパ腫は病理所見から、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別されます。
また、腫瘍細胞の性格から、T細胞性、B細胞性、NK細胞性に分類されます。
日本人の悪性リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫が圧倒的に多く、かつB細胞性リンパ腫が多いのが特徴です。
悪性リンパ腫では、リンパ節に発生したものを節性、リンパ節以外の臓器組織に発生したものを節外性と区別していますが、わが国では節外性リンパ腫が40~50%を占め、組織学的にはび漫性大細胞型B細胞性リンパ腫が多く、ホジキンリンパ腫や濾胞性リンパ腫はまれです。
顎口腔領域では節外性リンパ腫の占める割合が高く、歯肉、上顎洞、顎骨に多くみられます。
その臨床症状は多彩で、腫脹あるいは腫瘤、潰瘍を形成したり、疼痛、歯の動揺、鼻づまりなどを伴いますが、これらは悪性リンパ腫に特徴的な所見ではないため、生検による組織診断が不可欠です。
節性では頸部や顎下リンパ節が無痛性、孤立性あるいは多発性に腫大します。これらは急速に腫大し、大きな腫瘤となります。また周囲組織と癒着したり、極度に増大すると嚥下障害や呼吸困難などの症状を呈します。
治療は、血液内科などと共同で複数の抗がん剤による化学療法や放射線治療が単独あるいは組み合わせで行われます。
以上、良性、悪性の腫瘍について説明をさせていただきました。