こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。
今回は一般的に言われている虫歯菌について説明していきたいと思います。
まず、虫歯とは、学術的にはう蝕といい、細菌によって産生された酸によって歯が溶かされていくことをいいます。
お口の中に悪い妖精さんが住んでいるのでは無く、口腔内細菌の仕業なんですね。
虫歯はヒトにおいて最も普遍的な感染症でして、旧石器時代の化石人骨で、すでに多数のう蝕歯が観察されたりしています。
う蝕の原因として、現在一般的に考えられているのは、1890年に、W.D.Millerさんが提唱した、化学細菌説というものになります。
これは、口の中にう蝕の原因となる細菌がいること、砂糖などの酸を作るために必要な材料が存在しないと、う蝕は発生しないという考えです。
ラットを用いた実験で、無菌状態にしたラットと、虫歯菌をもったラットに、同じ量の砂糖を与えたところ、虫歯菌の存在するラットには著明なう蝕が認められたのに対し、細菌の存在しないラットにはう蝕は発症しなかったという研究結果が出ています。
ヒトでも、生まれたばかりの赤ちゃんの口には虫歯菌は存在しておらず、大人の唾液から感染することで、う蝕が発症するようになります。
ヒトの口の中には、8000種類を超える微生物が生息していると推定されていて、多種多様な微生物からなる集団のことを、フローラと言います。
腸内フローラなんて言葉は、聞きなじみがあると思いますが、口腔フローラというものも存在します。
子供が大人の虫歯菌に感染してしまう時期が早ければ早いほど、口腔フローラが虫歯になりやすい環境に変化してしまうので、子供を持つ親の皆さんは気を付けなければなりません。
さて、そんな虫歯菌ですが、口のどこに隠れているかというと、歯の表面にこべり付いた歯垢の中にいます。
ばい菌達は単独で浮遊しているよりも、みんなで集まって固体の表面に付着しているほうが、栄養分を獲得しやすく増殖もしやすいからですね。
排水口にこべり付いたネバネバした垢も、こういった理由で形成されます。バイオフィルムとも言われたりします。
歯垢も排水口掃除と同じように、歯ブラシで落とさない限り、自然に無くなったりは絶対にしません。
むしろばい菌同士が協力しあって、増殖を繰り返しますので、そんな口で砂糖でも摂ったりしたら簡単に虫歯ができてしまいます。
虫歯ができたら、何回も歯医者に行かなきゃいけなくて大変ですよね。
寝てる時など、唾液が減ってくると歯垢が形成されやすくなりますので、寝る前と起きた後の2回は必ず歯磨きをする習慣を作りましょう。