睡眠時ブラキシズムのメカニズムその②

こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。
今回は、前回の続きになります。

 

前回は、原発性の睡眠時ブラキシズムについて説明していきました。
睡眠周期内の微小覚醒に関連して引き起こされるものでしたね。

 

もう一つの分類として、2次性の睡眠時ブラキシズムである続発性睡眠時ブラキシズムがあります。
これは、他の睡眠に関連した疾患に付随し、続発的に引き起こされるブラキシズムになります。
有名な疾患としては、睡眠時無呼吸症候群が挙げられます。
睡眠時無呼吸症候群患者では、睡眠時無呼吸症候群を伴っていることが多く、無呼吸、低呼吸時の前後に、ブラキシズムが発生していることが多いです。

 

また、胃食道酸逆流症患者では呼吸中にも胃酸の逆流が認められますが、それに伴ってブラキシズムと嚥下が増加することが報告されています。
さらに、胃酸分泌抑制剤を投与することによって、ブラキシズムが減少することも報告されています。
そのため、ブラキシズムは唾液の分泌促進あるいは口腔内に残っている少量の唾液の拡散を行い、逆流した胃食道酸の緩衝を行うという役割もある可能性があります。
胃食道酸逆流症を有している方は、酸によって歯が溶けることに加え、惹起された睡眠時ブラキシズムによる歯へのダメージの両方が考えられるので、歯を守るという観点からも、治療と予防が重要になってきます。

 

不眠症も、睡眠時ブラキシズムと関連のある疾患になります。
睡眠の浅化に伴って、ブラキシズムが発現する傾向があることから、不眠症患者では有意に多く睡眠時ブラキシズムに罹患しているという報告があります。
また、睡眠の質の低下は痛みの過敏・悪化にもつながるので、顎関節症との関連も報告されています。
他にも、パーキンソン病や、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの精神疾患も、睡眠時ブラキシズムの発症原因と考えられています。

 

以上、睡眠時ブラキシズムの発現の原因について説明してきましたが、次に、ブラキシズムを増悪させるリスクファクターについて説明していきたいと思います。
世間一般的に、不安、抑うつ、精神的なストレス等が睡眠時ブラキシズムの原因として考えられがちですが、これらは根本的な原因ではなく、リスクを増大させるものに分類されます。
趣向品では、アルコール、カフェイン、ニコチン、ドラック等が睡眠時ブラキシズムを増悪させると報告されています。
また、就寝前の行動(テレビ鑑賞、読書、激しいスポーツ、暴飲暴食など)も関係があると考えられていますが、関連性はまだ実証されていません。
ただ、睡眠の質の低下や、不眠症につながるような行動は、睡眠時ブラキシズムを引き起こす要因になりますので、要は規則正しい生活を心がけた方が良いということですね。

 

 

次回以降も、ブラキシズムについての解説を進めていこうと思います。
よろしくお願いします。