歯の痛みと間違えがちな三叉神経痛 その①

 

 

 

こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 

今回のテーマは、三叉神経痛についてです。

歯に激しい痛みがあり、虫歯が原因だと思って歯医者に駆け込んだのは良いものの、特に口の中には何も問題ないから、とりあえず痛み止めだけ出されたみたいな方はいらっしゃるんじゃないでしょうか。

こういうケースでは、三叉神経痛が疑われますので、どういうメカニズムで痛みが出るのかなど、解説していければと思います。

 

まず、虫歯が無いのに痛みが出るケースとして、歯周病進行や、食いしばりによる歯の負担知覚過敏など様々な原因があります。

我々歯医者は、まずは上記の原因を疑いますが、それらを除外しても、なかなか痛みが取れない場合、三叉神経痛を疑います。

 

三叉神経痛の特徴としては、瞬間的(秒単位)に電気が走ったような激烈な痛みが出るようなもので、年齢としては、通常50歳以上で発症します。

痛みの出る場所は、脳神経の三叉神経が走行している領域になりまして、必ず右か左、片側だけに発生します。

痛みはトリガーゾーンと呼ばれる、発作誘発部位への軽い接触で誘発されます。

トリガーゾーンは、主に口周りに存在するので、例えば顔を洗う、ひげを剃る、歯磨きするなどで顔面に触れると、激しい痛みが誘発されます。

三叉神経痛が虫歯の痛みだと勘違いされやすいのは、歯の神経の支配領域にあります。

元々神経というのは、脳神経から何本も全身へ枝を伸ばしており、その1つが三叉神経という枝になるのですが、この三叉神経も、文字通り3本の枝を伸ばしており、それぞれ眼神経、上顎神経、下顎神経という枝に分岐します。

歯の痛みを受容するのは、このうちの上顎神経下顎神経になります。

上顎神経も下顎神経も元々同じ三叉神経のため、三叉神経痛により痛みが誘発された場合でも、脳みそでは歯が刺激を受けた痛みだと勘違いしてしまうわけですね。

なので、顔面に触れただけで、歯に激痛が走る感覚があれば、三叉神経痛を疑った方が良いかもしれないですね。

 

三叉神経痛は、進行が進んでいる状態であれば、前述した特徴的な痛みを呈するので、我々歯科医師も診断は容易になります。

しかし、病初期段階では典型的な症状を示さないことがあるので、診断に苦慮するケースが多いです。

三叉神経痛は進行性の疾患であるので、進行するにつれ、典型的な症状がそろい、最終的にはくっきりとした典型所見により、確定診断に至ります。

 

次回へ続きます。