虫歯にならない食事習慣を科学的に解説してみた①

 

 

こんにちは、とみざわ駅前歯科の大島です。

皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 

歯磨きをしなくても、虫歯にならない人がいますが、元々口腔内に虫歯の原因になる細菌が少なかったり仕事をしなかったりという理由もあるのですが、砂糖を摂る頻度が極端に少なかったりすることがあります。

食生活に起因するといわれている疾患のうち、疫学的に明確にされているのは、虫歯と砂糖の摂取との関係になります。

今回は、研究で明らかになった事実を元に、虫歯と砂糖の関係について解説していきたいと思います。

 

食事からショ糖を除くとう蝕はほとんど起こらない

Hopewood House Study (1967)という、食生活を徹底的に改めることによって、健康を回復した1  人のオーストラリアのビジネスマンであるHopewoodによって、1942年に設立された「子供の家」に生後すぐに引き取られた12歳までの子供に関する研究があります。

この「子供の家」では、Hopewoodの食事理論の実践が試みられ、子どもの食事から、砂糖のような精製された炭水化物が取り除かれました。

炭水化物類としては、全穀粒のパン、大豆、小麦胚芽、ライ麦、ジャガイモ、糖蜜などが与えられました。

献立の主体は乳製品、果物、生野菜、ナッツでした。

結果、この施設では、とくに虫歯の予防手段をとっていないにも関わらず、11歳時点での1人平均虫歯経験歯数を表すDMFT指数が約1.0と、きわめて低いう蝕有病率でした。

比較対象として、当時の一般の公立学校生徒のDMFT指数は約5.0でした。

 

②先天的に果糖を代謝する酵素が欠如しており、ショ糖を摂取することにより、さまざまな全身症状を引き起こすHFIと呼ばれる、先天性果糖耐容能低下症患者の研究もあります。

HFI患者は、厳密な食事制限が加えられており、砂糖の摂取量もきわめて低いです。

摂取上限としては、1日2.5g程度になります。

500mlコーラには角砂糖14個分の砂糖が入っていまして、だいたい50gほど砂糖が入っていますので、それに比べると、いかに砂糖を制限しているかがわかります。

炭水化物は主として、牛乳、パン、セモリナ、オートミール、ヌードル、スパゲッティー、米、ジャガイモなどのブドウ糖、ガラクトース、乳糖、デンプンを含んだ食品を食べています。

HFI患者と健常者でのDMFT指数を比較した研究では、1日当たりのショ糖の摂取量は、HFI患者群が2.5gに対し、健常者群は48.2gでした。

DMFT指数は、平均年齢29.1歳のHFI患者群で2.1歯、平均年齢26.5歳の健常者群で14.5歯でした。

 

 

 

この2つの研究結果から、食事から砂糖を除くと、11歳程度でDMFT指数が1.0、30歳になっても2.1と、虫歯の発症が非常に低いことがわかります。

それだけではなく、ブドウ糖、ガラクトース、乳糖、デンプンを含んだ食事(全穀粒のパン、大豆、小麦胚芽、ライ麦、ジャガイモ、糖蜜、牛乳、パン、セモリナ、オートミール、ヌードル、スパゲッティー、米)は虫歯をほとんど起こさないことを示しています。

砂糖というのは、ブドウ糖と果糖によって構成された2糖類の炭水化物であるので、これさえ避ければ、糖質制限をせずとも、う蝕予防を達成できるというわけですね。

 

かくいう僕も、食事のほとんどを自炊しておりまして、甘いものを食べたいときは、ハチミツやオリゴ糖を代用したり、加工されていない果物を摂取するようにしていて、外食以外ではほとんど砂糖を摂らないように心がけています。

とはいえ、生活環境によっては、砂糖を一切取らない生活を遂行するのが難しい方もいらっしゃると思います。

次回は、虫歯になりにくい砂糖の摂取方法について、解説していきたいと思います。

どうぞよしなに。