虫歯にならない食事習慣を解説してみた②

 

 

こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

前回は、食事要因として精製された砂糖が、虫歯の一番の原因であることを解説してきました。

ただし、砂糖をゼロにする生活習慣を実践するのは難しいと思いますので、今回は、虫歯になりにくい砂糖の摂取の仕方や、代替甘味料の虫歯予防効果などを解説していきたいと思います。

 

 

虫歯の病因論が確立されていなかった1946~1951年に行われた、Vipeholm Studyがありまして、砂糖の摂取量よりもその摂取頻度の方が虫歯の発病率に深く関連していることを示しました。

この研究の結果をまとめると、

  • 口腔内停滞性が高く、発酵性糖質を多く含む食品を間食に摂った場合にう蝕が多発する。
  • 3回の食事の味付けに使われる程度のショ糖(砂糖)はう蝕を誘発しない。
  • 食事に際して水溶液で摂るショ糖はう蝕を誘発しない。

これは、「ショ糖はう蝕を誘発するが、食べ方によってう蝕の発生は左右される」ということになります。

口腔内に長い時間留まるような砂糖が虫歯になりやすいというわけですね。

つまり、あめ玉やジュースなど口の中での滞留時間長いものや、キャラメルやチョコレートなど、歯にくっつくものが、虫歯のリスクが高いということになります。

なお、100%果汁ジュースも、果汁には果糖以外にもショ糖が含まれているので、虫歯のリスクが意外に高いので、注意が必要です。

研究結果に基づくと、ジュースは一般の食事と一緒に摂ることで、唾液と共に口腔内からすぐに食道へ流れるので、虫歯になりづらいと考えられます。

 

 

また、Turku Sugar Studies(1975)では、砂糖、果糖、代替甘味料であるキシリトールの摂取群の3群に分けて、う蝕発病およびう蝕に関連するさまざまな因子について解析を行っております。

この研究から、

  • ショ糖をキシリトールに置き換えると、う蝕はほとんど起こらない。
  • 果糖はう蝕を誘発させるが、その程度はショ糖よりもわずかに低い。
  • キシリトールはエナメル質の再石灰化作用を示す。

ことなどがわかりました。

Turku Sugar Studies後にも、キシリトールについては多くの研究が行われまして、キシリトールは、非う蝕誘発性の甘味料であると同時に、エナメル質の再石灰化を起こす甘味料と認識されるようになってきました。

CanadaのMonatrealで行われた研究では、非う蝕誘発性甘味料のキシリトールを利用したチューインガムを1日3回、毎食後にそれぞれ5分咀嚼したところ、う蝕発病をおよそ50%抑制したという結果も得られています。

ただしこの効果は、キシリトールに抗う蝕性があるというよりは、非う蝕誘発性のチューインガム咀嚼による唾液分泌促進による効果と考えられます。

また、この抑制効果は2年間継続した場合の結果であり、継続しなければ起こらないことにも注意が必要です。

次回へ続きます。