口腔癌ってどんなものがあるの?その②

 

こんにちは、とみざわ駅前歯科、歯科医師の大島です。

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

今回は、前回の記事の続きになります。

 

前回は、歯原性由来の悪性腫瘍を見ていきましたが、今回は、非歯原性悪性腫瘍になります。

口腔粘膜に発生する上皮性悪性腫瘍を、口腔癌と呼びます。

小唾液腺の腺上皮由来の唾液腺癌も含まれますが、そのほとんど(90%)が口腔粘膜上皮由来の扁平上皮癌になります。

口腔に隣接する口唇、咽頭(上咽頭、中咽頭、下咽頭)、喉頭、上顎洞、鼻腔および副鼻腔、大唾液腺、甲状腺の領域に発生する癌腫とともに頭頸部癌に分類されます。

WHOによる口腔の解剖学的部位は頬粘膜部、上歯槽と歯肉、下歯槽と歯肉、硬口蓋、舌(前方2/3)、口腔底の6つに分けられます。

この原発部位別発生頻度では、舌が最も多く(約40%)、次いで下顎歯肉(25%)、上顎歯肉、口腔底、頬粘膜がそれぞれ10%程度で、硬口蓋が一番少ないです。

 

舌癌

主に歯や入れ歯の持続的な物理的刺激、喫煙、飲酒などが原因として挙げられます。

口腔癌のなかで最も頻度が高いものになります。

好発部位としては、臼歯部の舌縁が最も多く、続いて舌下面になります。舌背や舌尖の発生は稀になります。

好発年齢は50~60歳ですが、20~40歳の若年者にも他の口腔癌と比較して多く見られます。

男女比は、2:1で男性の方が多いです。

 

症状としては、腫瘤や潰瘍が多く、早くから痛みが出てきます。

増大すると形成された腫瘤の中央が壊死脱落して潰瘍を形成するようになります。

そのため、潰瘍の形態が不規則、不整で潰瘍底に角化壊死を伴い、潰瘍周囲に浸潤した腫瘍を硬結として触知できます。

腫瘤の中央が壊死脱落、陥没することにより噴火口状に周囲に堤防状隆起を伴うようになり、特徴的な癌性潰瘍の形態を示すようになります。

転移の頻度は30~40%程度で、口腔癌のなかでは高い方になります。

 

 

治療としては、外科的療法と放射線療法があります。

前者は、原発巣の切除と頸部リンパ節転移巣の切除(頸部郭清術)、再建術の組み合わせで行われます。

原発巣切除の基本は、十分な安全域を設けて切除することになりますので、腫瘍と一緒に健康組織も切除していきます。

リンパ節転移がある場合は、全頸部郭清術が行われます。

これは、口底粘膜、舌下腺、オトガイ舌筋、顎舌骨筋を含めて全てを一塊として切除します。

腫瘍が下顎骨に近接ないし浸潤している場合には、下顎骨の辺縁切除あるいは区域切除を行い、下顎骨も一塊として切除します。

 

放射線療法は、比較的初期段階の舌癌が適応になります。

小線源を用いた組織内照射が行われます。

舌の機能や形態が温存される方法ではありますが、治療や口内炎の治癒に時間がかかり、のちに放射線による骨障害が生じるなどの問題もあったりします。

 

次回へ続きます。