歯科治療と全身疾患⑥

こんにちは!
仙台市太白区大野田とみざわ駅前歯科、院長の相澤です。

さて、今回の歯の豆知識ですが、「歯科治療と全身疾患」について続けて説明させていただきます。

⑩骨粗鬆症

骨粗鬆症とは骨折をした状態ではなく、骨折の危険が増した状態のことを指します。
生活習慣病の治療と同じ考え方で骨折の予防を目標におき、治療を行います。

さて、具体的にどのようなお薬が問題になるかといいますと、
骨を破壊する細胞の働きを抑える薬(経口薬・注射薬)
骨を破壊する物質の働きを抑える薬(注射薬)
があります。

いわゆるビスホスホネート製剤と言われるものが代表的です。
それ以外にも、RANKL抗体製剤があります。

これらの薬は通常の歯科治療では全く問題になりません。
ただ、抜歯や歯周病関連の手術、インプラント手術などにおいては、状況によって注意が必要です。
短期間の服用や注射治療であれば、休薬の必要はありません。
しかし4年以上服用を継続し、リウマチやステロイド治療などを行っている場合は、主治医と担当歯科医師の間で、相談が必要になります。

骨粗鬆症の手帳などを有する方は、治療時にご持参ください。
また、ビスホスホネート系薬剤服用患者カードなどをお持ちの方も提示をお願いします。

また、手帳やカードでなくとも、主治医の先生から歯科にかかるときには必ず伝えること、と指示を受けている方もいます。
私達ももちろん確認を行いますし、以前そのような話されたかも、といった思い当たることがあれば遠慮なく伝えてくださいね。

また、これは非常に大切なことなのですが、これらの薬を服用中の方は歯周病菌からの感染で、通常の人よりも顎骨骨髄炎や顎骨壊死を起こしやすくなっています。
そのため、この薬剤を使うことを躊躇してしまう患者さんもいるようです。
しかし、服用によって骨壊死になる可能性は、内服薬で10000人に20人程度、注射薬で3%程度と言われています。

これらの薬を服用中の方は、より口腔清掃と歯周病のケアを徹底することで、顎骨炎の発症を予防できます。
ですので、定期的な検診、ケアを行うことを徹底することが必要です。

さて、最後になりますが、なぜ顎の骨なのでしょうか?
手や足の骨には起こらないのでしょうか?

顎の骨は歯ぐきに包まれていますが、歯が生えていることで、正確には歯ぐきを歯の根っこが貫く形なので、お口の中と直接交通していることが原因と僕は考えています。
細菌に直接さらされる骨は全身で、顎の骨だけであるためなのではと考えています。